水合せの儀式と花嫁のれん。

apr 21, 2023 / Column

今回は、水合せと花嫁のれんについてお話しますね。
30年前には、結婚式の日、新婦が新郎の家で、両家の実家の水を一つの杯に注ぎ合わせて飲む「あわせ水」の儀、素焼きの杯を割る「かわらけ打ち」、仏間の入り口に掛けた花嫁のれんをくぐる「のれんくぐり」、そしてご先祖のご仏前でお参りをする「仏壇まいり」が、ごく当たり前に行われていました。
合わせ水の儀は、家の前の玄関先で行われる儀式です。
花嫁は、自分の家の水を竹筒にいれて持ってきます。
花婿側もその家の水を竹筒に入れて持って花嫁が到着するのを待っています。
玄関に入る前に、花婿側の責任ある親戚の女性が両家の水を合わせ、
素焼きのかわらけに注ぎ、花嫁に飲ませます。
その飲んだかわらけを、先の女性が思いきり地面にたたきつけ、粉々に割ります。
そこで、皆さんの「おめでとうござます」の拍手の元、玄関へと進むのです。
この行事に込められた意味は、生まれ育ってきた家の水と、これから住む家の水を合わせて飲むことによって、花嫁が、嫁ぎ先の水が合わなくてお腹を壊して体調が悪くならないようにという直接的な意味と、水が合わない・・・すなわち風習があわないとかいろんなすれ違いが起こって苦労することがないようにという願いが込められているとのことです。
そして、その飲んだかわらけ(杯)を割ることによって、
花嫁がこの家に嫁いできたことを覚悟するのです。

粉々に割れるほど、この花嫁は二度と戻ることはないと象徴されるのですが、
例えば割れなかったり、もしくは真二つに割れてしまうと・・・その場の全員が固まり、冷や汗をかいたものです。この割る役目、かなり重要で責任がかかってます。
もしかしたら、粉々に無事割る事が出来たその女性に対する拍手なのかもしれませんね(笑)

そのあとは、仲人さんに手を引かれ、玄関に入り、そのあとはお手引きと呼ばれる子供二人に手を引かれて家の中へと入っていくのですが、その通路には新郎家の親戚やご近所様が並んで座って待っています。

控えの間で色打掛から白無垢に綿帽子という出で立ちに着替えた花嫁は、花嫁のれんをくぐり、仏間に入ります。
仏壇参りは新郎の母と花嫁だけがします。
ご先祖様にとついできた花嫁を紹介すべくお参りするのです。

花嫁のれんは、正常な領域を生み出す「結界」の意味があって、
そののれんをくぐった時から、新しい生活が始まるのです。
こうやって、ご先祖様へ報告をしてから、結婚式が行われます。

一昔前までは、当たり前のように行われてきた儀式なんですが、
チャペル式がはやり、和装をしなくなり、式場で支度をするようになってしまってから
花嫁姿で家を出るということが少なくなっていったようです。
なんだか、さみしいですよね。

家の間取りや、家族構成、ご近所付き合いなど、色々な事情が変わってきていますから、まるで同じようにはできないということもあるのですがω`)
家と家の結びつきだったはずの結婚式は二人だけ、個人の結びつきという考え方に変わっていきました。
でも、最近また、「絆」という言葉が注目され、家族を大切にする世代へと変わってきたような気がします。

そして和装人気も15年ほど前から復活し、定着してきました。
「自宅からお嫁にいきたい」というお嫁さんもそれに合わせ、増えてきました。

「是非、そうしましょう!」

嬉しくて、そう即答する私がそこにいます(笑)
引き継いでいきたい伝統ですから、結婚式の意味を知り、できる範囲でやれたらいいですよね( ^o^)